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にいじゅく地区図書館と記念講演会 2021.07.18


リポーターのおくたともこです。

私が気になる葛飾区内のイベントや場所におじゃまして、このブログをご覧の方だけにその魅力をお届けします!

今回は…東京かつしか赤十字母子医療センター内にある「にいじゅく地区図書館」と、7月3日に開催された開館記念講演会「ブックスタートが拓く小児科医の役割」をご紹介。

2021年6月2日、国道6号沿いの葛飾新宿郵便局近く、赤十字病院で唯一の産科・小児科専門病院である「東京かつしか赤十字母子医療センター」内に、「にいじゅく地区図書館」が開館しました。患者さん用の図書室や図書コーナーを設置した病院はありますが、公立の図書館が併設された病院は全国でもかなり珍しいのではないでしょうか。

東京かつしか赤十字母子医療センター 東京かつしか赤十字母子医療センターの壁案内

講演会は病院内のセミナールームで行われ、妊婦さんだけでなく、出産後のお母さんから読み聞かせボランティアさんなど約30名の人が集まり、コロナ禍においてもその関心の高さが伺えます。
主催者である葛飾区立中央図書館長の挨拶の後、講師は小児科医で東京かつしか赤十字母子医療センター院長、NPOブックスタート理事でもある三石知左子さん。「皆さんの期待する話ができるかしら」と恐縮しながらも、「リカちゃんの洋服とお揃いで袖に赤いテープを付けてみました」と茶目っ気たっぷり。会場の空気を和ませるため、「リカちゃんには3つ子のきょうだいがいるけど当院のNICUには入院の記録がない」「リカちゃんでんわにかけてみたら一方的に話しだして切れた」など、楽しいお話が続きます。

記念講演会案内版 記念講演会会場の様子

小児保健やハイリスク児のフォローアップを専門とされている院長先生は、頭を打っても虫に刺されても最初の窓口になるので、あらゆる病気を勉強しなければいけないこと、また、病気だけでなく、「成長と発達」や「栄養」に関することなど、小児科医には多くの知識が必要だと話されました。
その他にも、日本のNICUの死亡率が1.9%と世界トップクラスであること、ハイリスク妊婦さんの支援を目的に「葛飾赤十字産院妊産婦支援チーム」が発足され、多職種と連携して切れ目のない支援を行っていることなど、皆さん興味深く聞き入っていました。

三石知左子院長 ブックスタートパネル

大学病院から葛飾赤十字産院(現病院の前身)に移られて、診療以外に何か発信したいと思っていた院長先生は、たまたま読んだ新聞記事で「ブックスタート」と出会います。「ブックスタート」とは絵本を通じて親子がゆっくり触れ合う時間を持つきっかけとなる活動のこと。一人一人に絵本を渡すことは難しくても、病院の図書を充実させ、絵本の読み聞かせをすることで、どの赤ちゃんにも平等に絵本と触れ合える機会と、お母さんとの時間を作るための活動に取り組まれました。
そして、院長就任後の翌年からは出産祝いに絵本を贈るように。図書館併設の病院は、そんな院長先生の願いでもあったわけですね。

記念講演会)質疑応答 にいじゅく地区図書館の専用コーナー

冊子「東京かつしか赤十字母子医療センターSelect本」には、院長先生が感動したり、日常生活でためになったりした38冊の本が紹介されています。私が小さい頃に読んだ本もあり、あらためて読んでみようという気持ちになりました。図書館内に専用コーナーがありますので、気になる方はぜひ覗いてみてください。

病院からの入り口 にいじゅく地区図書館)全体

病院の1階に、ピカピカの「にいじゅく地区図書館」があります。元々は「新宿図書センター」でしたが、今回の移転に伴い、名前を変えてオープンの運びとなりました。他の区立図書館より小ぢんまりとした印象ですが、一般書約10,000冊、児童書約10,000冊、雑誌約50タイトル、CD約200点が収蔵されていて、特に児童書が5割と充実しています。オープン日には約1,000人が来館し、今でも土日は1日500~600人の方が利用するそう。

にいじゅく地区図書館)マタニティ・育児コーナー にいじゅく地区図書館)雑誌コーナー にいじゅく地区図書館)漫画コーナー

病院内ということでマタニティや育児に関するコーナーもあり、雑誌コーナーには健康、料理、ファッション、旅行、スポーツなど、あらゆるジャンルが揃っています。また、『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』など定番タイトルに、産婦人科を舞台にした『コウノドリ』、人気の『逃げ恥』や『鬼滅の刃』まである漫画コーナーは、戻ってきてもすぐに貸出し中になってしまうとのことですので、要チェックですね。

にいじゅく地区図書館)絵本コーナー にいじゅく地区図書館)紙しばい にいじゅく地区図書館)児童書コーナー

靴を脱いで上がれる絵本コーナーでお子さんとゆっくり本を探すのもいいですし、紙芝居は種類がたくさんあって迷いそう。閲覧用のイスや外の景色が眺められるソファ、本の検索機や自動貸し出し機など、すべてが揃った居心地のよい空間です。

登録には条件がありますが、東京かつしか赤十字母子医療センターに通院中の方であれば利用できるため、診療の帰りに立ち寄ったという若いお母さんは、「30冊まで借りられるので助かります」と、時間をかけて本を選んでいました。

にいじゅく地区図書館)奥のイス にいじゅく地区図書館)ソファ にいじゅく地区図書館)外からの入り口(一時涼み所)

新しい本屋さんのような、プライベート感覚で過ごせる「にいじゅく地区図書館」。
一時涼み所としての役割もありますので、これからの季節は特におすすめです。


ブックスタートとは

1992年に英国で始まり、2001年には世界で2番目に日本でもスタートしました。絵本を通じて親子がゆっくり触れ合う時間を持つきっかけを作る活動で、葛飾区では平成17年に事業として開始。3~4か月健診時に絵本を手渡し、図書館員とボランティアさんによる読み聞かせをおこなっています。

◇東京かつしか赤十字母子医療センター
https://katsushika.jrc.or.jp/
◇葛飾区立にいじゅく地区図書館
https://www.lib.city.katsushika.lg.jp/info?0&pid=7803
◇ブックスタート・セカンドブック事業
https://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/1000058/1002754/1023604.html
◇一時涼み所(いっときすずみどころ)とは
https://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/1000052/1002144/1026352.html

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